「ともえ」の精神 理論から実践へ
─── タガヤス 理事 辻井 啓作(有限会社 ともえ情報産業 代表)
皆さんは「ともえ投げ」をご存じだろうか? 柔道の投げ技の一つであり、対戦相手の下に潜り込み、自身の脚と引手を使って相手を投げる技である。
この「ともえ」を冠に掲げる「ともえ情報産業」の代表を務めるのが、当法人理事の辻井啓作さんである。
なぜ、この言葉を冠にしたのか。
彼は、大学まで柔道に打ち込み、今でも鍛錬を続けている。
彼にとって、それは決して投げ飛ばすという意味ではなく、「お客さまの下から入る」という謙虚な姿勢の象徴なのだ。強い者ほど謙虚なのである。
彼は、大手証券会社から独立して同社を立ち上げ、現在、産業、中小企業、流通、経営分野における調査・コンサルティングを請け負っている。これまで、数多くの商店街再生のコンサルティングを手がけ、携わった広島・呉市の取り組みでは経済産業省から表彰を受けている。こうした取り組みは学術界でも評価され、複数の大学で講師を務めてきた。今は跡見学園女子大学でコミュニティと地場産業をテーマに教鞭をとっている。
しかし、彼はあるときこう考えた。
「たくさんの商店街コンサルを行ってきたが、理屈ではなく、実践から得られるものがあるはずだ。それを体感しなければ」
その思いから始めたのが、たい焼き屋「ともえ庵」だ。
東京都中野区の小さな店舗から始め、今では、阿佐谷パールセンター商店街で行列ができるほどの人気店に育った。
メディアからの取材も多く、いくつものまち歩き番組で紹介されている。
オリジナルの「白玉たい焼き」は、彼がこだわりぬいた商品であり、究極の美味しさである。
そんな彼がなぜタガヤスの一員となったのか。
「空き家も空き店舗も似ているんです。一番やっかいなのは、店は開いているが、全体の売上げや活気が落ち込んでいる商店街。こういうところには何らかの変化が必要です」
「空き店舗は、何かにチャレンジしたい人たちにとって、コストをかけずに受け入れられる素地になります。空き家の活用も同じだと思います」
空き家問題を商業振興の経験から得た目で見ている。
彼の商業振興の理論と実践については、すでにいくつかの著書にまとめられている。
<著書の数々>
商業振興から見た空き家対策・まちづくりのエキスパート。タガヤスにとってなくてはならない人財である。