介川 亜紀

マルチなメディアディレクター。「いかに届けるか」が勝負

介川亜紀さんとの出会いは、建築や不動産、まちづくり分野の研究者やマスメディア関係者などが集まる食事会であった。

彼女は、茨城県水戸市出身であり、大学では心理臨床を専攻していた。大学卒業後はメーカーに在籍し、消費者の心理を捉えた販売促進戦略を練っていた。その後、編集プロダクションに身を置き、独立を果たした。

一貫性が見えづらいものの、実は彼女のキャリアには一本の筋が通っている。
それは、「誰に対して、どのような情報を、いかに届けるか」。
これを常に追い求めていたという。

広報を担当した「鈴森village」(写真:中村晃)

1990年代初頭にバブル経済が崩壊するまで、いわゆる一般誌ではファッションやコスメなどの情報が多くの誌面を占めていた。しかしその後、読者の興味の対象が変化し、徐々に住まいの問題やライフスタイルなどが取り上げられるようになっていった。

期を同じくして、彼女は建築やライフスタイルを主とした多くのメディアに編集者として携わるようになり、その後、専門領域を深めるべく、都内大学の大学院で建築及び地域再生を学び始めた。

この一連の流れが、建築・住宅・まちづくり系のメディアディレクターを生み出すことになった。

現在は、出版社のほか大手住宅設備機器メーカーなどを顧客に持ち、一方で環境共生型賃貸住宅「鈴森village」(埼玉県和光市)の広報も担当している。賃貸住宅としては日本で4番目にLEED for Homes認証を取得した注目の物件だ。

ディレクションを担当しているTOTOのWEBコラム、「快適はヒトの手から~開発ストーリー~

「今、企業はコーポレートサイトだけでなく、各部署が独自のメディアをつくる時代になりました。それだけに、誰に対して、どのような情報を、いかに届けるか、という戦略をより重視しています」

発信する側、受け取る側の個別性が増し、メディアをディレクションする側の手腕がより問われるようになったのだ。

タガヤスでは、マーケットではあまり取り上げられない空き家や、地域での地道なまちづくり活動の情報を発信することを目的としている。誰に対して、どのように届けていくか、がより問われるコンテンツとなる。

タガヤスは彼女の強みを活かし、地域で地道に活動している方々の情報を、より多くの読者のもとに届けていきたい。