鈴木 孝之

人と人とをつなぐのは
グローバルもローカルも一緒

鈴木孝之さんとはじめて出会った時、何か身体から発する力強さというかオーラを感じた。

彼は長野県伊那市で中央不動産という不動産会社を経営している。

住宅の性能を高め、それを正しく評価しようという国土交通省の取り組みに事業者として参加していたときのこと、彼が私に、その恰幅の良い身体からは想像できない人懐こい笑顔で話しかけてきたのを覚えている。

若いころの彼には、国際機関で働きたいという夢があった。その夢を実現させるために、あるとき突然、単身渡米したのだという。そして、まわりからは「失踪」と噂されるほど、音信不通のまま1年を過ごした。

連れ戻された彼は、紆余曲折の末、大学時代に知り合った妻の父親が創業した建設会社と不動産会社を継ぐことになった。自分探しを経たうえでのハッピーストーリー…などではなく、実は、そこから彼の真の正念場が始まる。会社経営が常に順風満帆だったとは言い難く、1カ月の収入が、賃貸の仲介手数料6万円だけだったこともあるそうだ。

国際機関で働きたかった、と書いたが、その理由はグローバルに人と人とをつなげたかったからだ。

そんな彼がこんなことを言った。

「人と人とをつなげるのは、グローバルもローカルも一緒です。だから、人と人とをつなげる不動産業は私の天職だと思っています」

そして、取り組み始めたのが、伊那市への移住・定住の支援だ。行政の委託などではなく、自社事業である。

伊那市に移住した大手メーカー勤務のある方はこう話していた。

「鈴木さんがいたからです。鈴木さんに引き寄せられました(笑)」

その彼も、今では鈴木さんとともに、伊那市への移住・定住プロジェクトに参画し手腕を発揮している。

このプロジェクトは伊那市の駅前商店街にある空き店舗を移住・定住のプラットフォームへと再生する大掛かりなものだ。これについては、今後ブログで詳しくご紹介していきたい。

彼は、やりすぎなくらい、人の世話を焼く。そしてたくさんの人が引き寄せられ、仲間となっていく。国際機関でグローバルな人と人とのつながりをつくりたいという夢が、伊那というローカルなまちで花開こうとしている。彼にとっては、グローバルであろうが、ローカルであろうが変わらない。

そんな彼はタガヤスのかけがえのない同志である。