秘めたる熱いまちづくりへの思い
─── 原 紀明
原さんとの出会いは、埼玉県のある会合であった。
埼玉県の声がけにより既存住宅流通や空き家対策を検討し実施する民間異業種連携による会合である。
会議開始の時間が迫り、会議室に次々とメンバーが入ってくる。
その中で、親しやすい雰囲気とやわらかい笑顔で入ってくる方がいた。
その方がいると、周りの緊張がスッとほぐれるような雰囲気だ。
これが原さんとの出会いだ。
この会合は既に何度も開催されており、その回は新年度はじめの第一回であり、原さんは初めての参加であった。
議事が進行していく中で、原さんの発言があった。
既存住宅流通や空き家対策は、社会システムの問題でもあり、とても難しい社会課題ではあるが、原さんの発言は、普段からこの事を深く考えていなければできない発言であった。私は発言している原さんの顔を改めて見つめなおした。先ほどのやわらかい雰囲気から、キリッとした空気をまとっているようだった。
会合後には、懇親会が開催され、私は迷わずに原さんの隣に座った。この方のことをもっと知り合いし、私のことももっと知っていただきたい。そんな初恋のような気持ちになったのだ。
先ほどの会合で見せたキリッとした空気感。
それもそのはず、公益社団法人全日本不動産埼玉県本部の常務理事をされている方であった。
ご自身は、川越市に有限会社金大(かねだい)という会社を経営し、不動産業を営んでいる。もちろん、川越市を中心とした様々なネットワークは幅広く、お金では買えないものである。

そして、あの柔らかく親しみやすい空気感。
原さんは大変な苦労人である。苦労を通して持ち家に憧れ、今の職業に就いている。
本当の苦労を知っている方は、人に優しくなれる。
原さんは、事業を行う傍ら、マニラに出向き、ストリートチルドレンに食事などの提供を行う活動を行っている。これもご自身が体験した苦労からの活動だ。
この活動は現在は特定非営利活動法人Change the future for childrenとして継続している。

タガヤスの活動は、埼玉県を拠点としており、住生活をテーマとしたまちづくりであることから、具体的な不動産に触れていく機会が多い。また、タガヤスの会員は、タガヤス活動を専業としているわけではなく、本業を持ちながらも、まちづくりや地域貢献の思いから集まり、活動している団体である。
原さんの個性と経験、ネットワークは、私たちタガヤスにはどうしても必要と思い、川越の原さんの事務所までお伺いし、タガヤスに入会していただくことに快諾いただいた。
私よりも年上の心強いお兄さんのような存在だ。やわらかな物腰の奥には、常に熱い地域社会への思いが燃え続けている。タガヤスには必要不可欠な存在だ。
